世界遺産めぐりの世界一周旅行に参加して ...Around The World by Private Jet...
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Jan. 5 - 27, 2008

村田忠夫

Cusco & Machu Picchu, Peru -->Easter Island, Chile -->Samoa -->The Great Barrier Reef, Australia -->Angkor Wat, Cambodia -->Tibet
-->Agra, India -->Tanzania -->Egypt -->Petra, Jordan -->Fez, Morocco
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最近誰でも海外旅行に出かけますが、1960年前後の私が大学生の頃、日本政府は海外に200ドル以上の外貨持ち出しを禁止していて、 海外に観光旅行に出かける人は稀でした。私のその頃の一つの夢は、世界旅行をすることでした。その夢を実現したいと思い、 私は1962年にイリノイ大学(アーバナ校)に留学しました。修士及び博士課程を終え、1966年からは同大学(シカゴ校)で教鞭を執るようになり、 現在は特別名誉教授(Distinguished Professor Emeritus) として勤務 しています。 過去40年間、ほとんど毎年のように、国際会議に出席したり、招待講演をしたりと、世界各地を訪れる機会があり、 数多くの世界遺産及び興味深い場所を訪問出来、留学前の夢はほぼ実現しました。

そして、今年1月には、チャーター機で11カ国15箇所の世界遺産を22日間で訪問する「世界一周旅行 (Around The World by Private Jet)に 参加する 機会を得ました。 この旅行には、イリノイ大学及び他8大学の同窓会などに所属する88人が参加しました。 チャーター機は、ボーイング757の230席を88席に改造したもので、ビジネスクラス並みの座席でした。 以下は、私の簡単な旅行記と写真です。

フロリダ州フォートローダーデールが、この旅行の出発・終着地で、 1月5日に全員が現地集合し、6日早朝に最初の訪問国ペルーに向けて出発しました。リマ到着後、 国内線に乗り継いで、1時間ほどでクスコに到着しました。

クスコは、12世紀にインカ帝国の首都として栄えた美しい街で、 インカ時代の文化が偲ばれる建物や、スペイン風の建物が街中に保存されており、世界遺産として登録されています。

翌日、列車に乗り、とても素晴らしい景色を眺めながら3時間ほどでマチュピチュ駅に到着し、 そこから更にバスで30分程度山を登ったところにあるマチュピチュ入口に到着しました。 そこは、アンデス山脈の奥深い山の頂上近くにある謎のインカ帝国の遺跡で、1911年にエール大学の探検家ビングハム氏により発見され、 有名になりました。数年前、NHKが 世界遺産シリーズを放送した際に、 マチュピチュが世界遺産人気投票においてベスト30中1位になったほどの素晴らしい空中都市遺跡です。

マチュピチュ

1月8日、南米の西海岸から西に約2400マイルを飛行し、 ポリネシア諸島の東端に位置するイースター島に到着しました。 そこは、チリに属し、「モアイ」という下の写真にあるように、大きくユニークな人物石像が沢山あることで有名です。


1960年のチリ大地震による津波で、海岸沿いにあった15体のモアイ石像は倒れてしまいました。 その後1992年に日本の某企業がクレーン車を寄付し、その倒れたモアイ像の修復プロジェクトを援助したそうです。

イースター島のモアイ石像

1月10日、サモア島に到着しました。そこは、「ポリネシア人の祖国」と言われるだけあり、 昔からの典型的なポリネシア文化が引き継がれていると感じとることができました。
又、真っ白で綺麗な砂浜の景色をはじめ、昔からの自然美も楽しめる観光地で、 日本からも観光客が多いとのことです。サモア島は、現在、世界遺産として登録されるよう申請中です。 翌日、日付変更線を通過し、12日にオーストラリアに到着し、ポートダグラスで2泊しました。

オーストラリアの北東海岸に沿って横たわる長さ約1600マイルの大珊瑚礁 (Great Barrier Reef) は、 宇宙の彼方からも 見えるという世界 一大きな有機体で、無論、世界遺産に登録されています。13日、 船で珊瑚礁の近くに行き、そこから半潜水船に乗り換え、窓ガラス越しに綺麗な珊瑚礁や色鮮やかな熱帯魚を見ることができました。

アンコールワット寺院

1月14日、オーストラリアからカンボジアに飛び、世界遺産ベスト30中5位のアンコールワットに到着しました。 アンコールワット寺院は、9世紀頃から13世紀にかけて建設されましたが、15世紀頃放棄され、 1860年にフランス人によって発見されるまで、ジャングルの奥深くに埋没していたそうです。 1世紀頃からインドよりヒンズー教が入り、又13世紀頃から仏教が、カンボジアをはじめインドネシア全域に広がりました。 ガイドさんの話によると、「カンボジアの仏教は、ヒンズー教の影響を少し受けている」そうです。 今、カンボジアは、内戦で荒らされた国の再建のために、観光産業、織物工業、子供の教育などに力を入れています。 外国からの経済支援額は、日本が一番多く、次にアメリカで、それらの支援金は、病院・学校・道路などの建設に使われているそうです。

1月16日、カンボジアから中国の成都に飛び、世界最大のパンダ自然公園を訪問しました。翌17日、国内線で約2時間ほどで、 チベットに到着しました。そこは、海抜4000m以上で、真冬でしたので、朝の気温は華氏16度、日中は40度ぐらいで、 とても寒く感じられました。午後からは、チベット仏教の総本山とも言われているジョカン寺(大昭寺)を見学しました。翌18日は、 世界遺産で有名なポタラ宮殿、800人の僧侶が住むセラ修道院、博物館などを訪問しました。



現在のポタラ宮殿は、 17世紀の5代目のダライラマ時代に、50年の歳月をかけて建設されたもので、歴代のダライラマの冬の宮殿でもあり、 又過去300年間チベット政府の中心でもありました。現在のダライラマ14世は、1959年からインドに亡命中です。





タージマハール寺院

1月19日、チベットから成都経由で、インドのアグラに到着し、タージマハールが見渡せるホテルに宿泊しました。 翌日の午前中は、世界遺産のタージマハールを見学しました。大理石で左右対称に建設されたタージマハール寺院に近づくにつれて、 大理石に描かれた模様が次第に鮮明に見えてきました。その模様も左右対称に描かれており、 建物の対称美と調和していて、とても印象的でした。同寺院は、ヒンズー教とイスラム教の伝統を融合した壮麗な芸術と建築技術の遺産です。 午後、同寺院近くにある世界遺産のアグラ城塞や大理石工場を見学しました。1月21日、 インドからアフリカに飛び、タンザニアのキリマンジャロ空港に到着しました。そこから小型機で1時間余り飛び、 その後ジープで1時間走り、ようやく日没後、野生動物が沢山生息するセレンゲテイ国立公園内のサハリ宿舎に到着しました。




22日、ジープで、セレンゲティ荒野を走り、ライオン、キリン、シマウマ、サル、バッファローをはじめとする多種の野生動物や野鳥を見ました。 1月23日、タンザニアを後にして、エジプト経由でヨルダンのペトラに着き、翌24日ペトラ遺跡を見学しました。ここは、 世界遺産ベスト30中6位で、ローマ帝国時代前後400年以上もの間、東西貿易交通の要所として栄えた都市でありますが、 14世紀頃から衰退し、人が住まない地域となっていたところ、1812年にスイス人探険家に再発見されました。ペトラ遺跡には、 宮殿の正面の様に見える岩に刻まれた有名なモニュメントがあります。これは、重要な王様の墓として造られ、 その後寺院として使われたという説があります。ペトラ見学直後、古代エジプトの首都ルクソールに飛び、その夜、 ルクソール寺院内で、我々の世界一周旅行の祝賀パーティーが開催されました。

ピラミッドとスフィンクス

1月25日、カイロに行き、世界遺産ベスト30中3位のピラミッドとスフィンクスを見学しました。 その後、モロッコの旧首都フェズに飛び、翌26日、フェズ市を見学しました。 フェズ市は9世紀に始まり、 13世紀及び14世紀に最も繁栄した都市で、中世紀の典型的なイスラム教の都市の姿をそのまま残しています。 特に、フェズ市内の最古の区域メデイナと呼ばれる場所には、中世そのままの狭い道、店、 イスラム寺院があり、世界遺産として登録されています。 1月27日、モロッコから大西洋を横断し、夕方、フロリダ州フォートローダーデールに無事戻ってきました。

以上、22日間で赤道を4回横断したこの旅行の全飛行距離は、約36,000マイルで、 それはシカゴ・成田間を三往復するにほぼ等しい距離です。上記の訪問地には、いずれも、 世界遺産が1箇所、もしくはそれ以上ある人気観光地で、もちろん個々に訪問しても価値ある素晴らしい旅行になるでしょう。 ただし、1カ所を訪問するのに最低1週間ぐらいかかるでしょうから、年に2、3カ所訪問しても、 これら11カ国 の世界遺産を観光するには数年かかるでしょう。 それを我々は22日間の強行スケジュールで回ったという今回の旅行は、 言ってみれば「駆け足旅行」でした。これだけ多くの世界遺産を見学できたこと、 3週間、食事も行動も共にした大勢の参加者との交友、全てにおいて、生涯忘れることのない素晴らしい大旅行となりました。